お知らせ

Iさん(University of Cambridge, Engineering / Kingswoodschool 出身)

書くことが思いつかない。
というのも、首をめぐらせたところで思いつくのは、朝起きて、学部棟または図書館に行き、必死 に勉強してたら今日も夕暮れかという日々ばかりだからです。

この生活からやや個性的な次の2点をすくいあげてみます。

1.学部最終学年の勉強
3年生になり、結局情報工学(Information engineering)を専攻することに決めました。Computer scienceとinformation engineering、information scienceの3つがどう違うかは聞かないでくださ い。私にもわかりません。結局はこの3つにはオーバーラップしている領域が多くあると思いま す。
試験後に2つのプロジェクトに取り組みました。Software(logic simulator)の作成と画像圧縮の探 求です。今後の研究領域に関わっているかなどはあまり考えず、単純に面白そうなものを選びま した。一緒にやろうと友達をチームに誘い、毎日彼らとラップトップをにらみつけていました。
Logic simulatorの開発のプロジェクトでは、自分の経験上で最長のコードを書くこととなりました。 論理回路記述の処理を効率的かつ正確に行うために、スキャンやパージングを取り入れたり、 ユーザー体験の向上にむけ、イベントとイベントハンドラを使用したGUIの活用をしたりと、コー ディングにおいて初めての経験の数々でした。
画像圧縮のプロジェクトでは、DCT、LBT、DWTなどの処理を実装し、既存の圧縮スキームであ るJPEGを超えるものを目指しました。画像処理のバックグラウンドにある理論の理解から始まっ たこのプロジェクトでは、実際手を動かすことはもとより、チームが共通認識・共通理解をしている かの詰めが最も重要と感じました。既存のものと違うことを目指す時に、実際にコードを変える前 に解決策の方向性をすり合わせることに時間を費やしました。
チームでコードのバージョン管理しながら効率的に改善を加えていくという習慣は、ソフトウェア開 発においては常識的なことです。しかし、学部前半ではコーディングの際に正直あまり意識して いませんでした。学部最終学年となり、ソフトウェア開発のライフサイクルを理解・経験し、実戦的 な学びが多分にありました。

2.学部最終学年の課外活動
昨年から関わっていたAnglo-Japanese Society(AJS)で会長を務めました。イベント企画担当の 時よりもAJS全体の運営に関わり、昨年より時間を多く割かなければならない事もありましたが、 やりがいもひとしおと言いましょうか。
「今までやったことのない新しいイベントをしたい」ふと昨年の夏休み中ミーティングでそんな話を しました。「なんか美味しそうだから和菓子作りをしてみよう」と勢いで、別に頼れる伝手があるわ けでもないのに、そんな感じで盛り上がってしまいました。ロンドンなら確かに和菓子職人さんは いらっしゃるはずだけれど…程度の前知識です。ロンドン外に遠征してくださる職人さんなんてい るんだろうか。ロンドンでワークショップをしている和菓子職人さんをネットで探し、ダメもとでメー ルを送ってみました。すると、とても幸いなことに私たちの提案に興味を持っていただけました。
半年間メールを通して、内容の具体的な打合せや値段交渉などを行い、今年2月に無事和菓子 職人さんを迎えてのワークショップを行いました。和菓子はもともと大好きです。しかし、参加した 人に楽しかったと言われたり、和菓子職人の方からケンブリッジに来られて良かったと言われた りした後に口にいれた白あんの美味さは格別でした。

大学入学当初はimposter syndrome、2年目以降周りが見え始めてからはinferiority complexに 苛まれてきました。鬼のように優秀な人が世の中にはたくさんいるもんだとあっけにとられること もしばしばです。おっそろしい所に迷い込んだものだ。この状況に心底震えながらも楽しんでいま す。なんなら楽しくて仕方ありません。

あと1年の学生生活、財団のご支援を得て今の環境に身を置けていることに心から感謝をしなが ら、これからも精進していきます。