1962年、私は英国へ。

創立者の想いとメッセージ

私は1962 年に都立高校を卒業後、英国の大学進学を希望し、英国大学入学に必要な資格(GCE-Aレベル資格)を取得する為に、19歳で単身渡英し全寮制のパブリックスクール(Public School)に入学しました。そこで必要な資格を取得しケンブリッジ大学に入学し、卒業しました。 このパブリックスクールと大学の5年間は、私の人生において何物にも変えがたいすばらしい経験で、その後の人生の道標になりました。

 私がケンブリッジ大学に入学を許された時、最初に総長にこう言われました。
「ケンブリッジ大学が あなたに興味を持ったのは、成績が良かったからだけではありません。あなたは10代後半まで日本で 普通の日本人として生活していました。
日本の教育を受け日本の文化や習慣を背景に日本人として生 きてきた。
その文化的背景を持ったあなたが、ここ英国で学ぶということが私たちにとってなにより貴 重なのです。
あなたは将来日本と英国をバックボーンにしたバイカルチャルな人物として世界で活躍す ることが期待できる。
ケンブリッジ大学はそういうあなたのバックグラウンドに価値を見ているので す。」この説明に私は感動しました。
日本から来た19歳の若造にイギリスの大学が期待してくれている。 私に英国人の真似をしろと言っているのではない。
日本人の誇りとカルチャーをもって英国で学べと 言ってくれている。その後私はその言葉を忘れることなく人生を歩みました。
現在の私自身はこの経験によって培われたもので、その様な人生を歩まなければ今の自分はなかったと 思っています。

 私は皆様が自分のような経験を積んで、日本人としてのアイデンティティーをもって世界で活躍し、 日本をあるいは世界をリードする人になってもらいたいとの思いから、まずその機会を作ることが私の 日本への貢献であると考えTazaki財団を創設しました。

 私は皆様が将来すばらしいリーダーに成長し世界中で社会貢献できるような人間になってもらいたい と願っています。

 「Noblesse Oblige」という言葉があります。
「高貴な人にはそれにふさわしい責務を果たすことが 課せられている」といった意味ですが、これはイギリスのパブリックスクールの基本となる道徳感でも あります。恵まれた環境で学ぶ機会を得た人たちは、その誇りと自覚を持ち、社会にその成果を還元して いく。これが昔も今もNoblesse Oblige の意味です。
皆様にはこれから研鑽を重ね、そして様々な分野 で業績を残していってもらいたい。「政治」、「事業」あるいは「学術」、「芸術」など多岐にわたって 皆様の挑戦があるはずです。

 意欲ある皆様がこの財団の支援に積極的に応募してくれることを期待します。

世界がグローバル化に向けてますます加速していく中、日本の経済界や教育界もその対応に力を注ぎ 始めています。

 

ここに来て経済界がグローバル人材の必要性を認識し、急速にその人材の確保を始めている中、大学 も急ピッチで教育・研究・体制のグローバル化を図っています。

 大学関係では2009 年の「Global30」以来「グローバル人材育成事業」、「海外留学支援制度(トビ タテ)」など立て続けに施策が実施されています。

 これと並行し、高校でも都立高校を対象とした「次世代リーダー育成道場」や「トビタテ」「スーパー グローバルハイスクール(SGH)」など重層的な動きが顕著になっています。

 また現在中等教育と高等教育の連携として、「高大接続」というテーマで主に受験制度の見直しが 議論されています。今までも内申重視、推薦入試、A0入試などいろいろな試みが実行に移されている ことは皆様ご存じのとおりです。
2016 年3 月には大学入試資格としてGCE-A レベル、国際バカロレア の資格を加えるという通知が文科省から出されました。

 こうした潮流から、高校生が日本の大学に進まず直接海外の大学学部に入学するといった例も決して 例外的なことではなくなっています。
大学進学に際して魅力ある海外の大学と日本の大学を選択する 時代になってきたということになります。

 しかし、日本の高校から海外の高校への期限付留学に比較して、高校から直接海外大学学部 (Undergraduate)へ留学するのには相当な費用がかかることも事実です。

 こうした中Tazaki財団は、英国パブリックスクールから英国の大学(学部)の5年間の全面支援を いたします。
この試みは、都内国公立高校や文科省からも賛同を得ております。

 現在日本では教育のグローバル化の対象は米国が中心となっています。しかし英国は教育において 長い伝統と歴史を誇り、その学術・教育は国際的にも高い競争力を維持し続けています。世界の大学で 先生と学生が一対一のチュートリアルシステムをおこなっているのはケンブリッジとオックスフォード だけです。
私は日本の若者に、日本のアイデンティティを持ちながらバイカルチャルな人間として将来 成長してほしい。そのためには、英国で学ぶことが最適であると確信しております。

保護者の皆様にもぜひこの趣旨をご理解いただき、若者の飛躍に賛同していただくことを期待しており ます。


創立者/理事長 田崎 忠良

【プロフィール】

1943年 7月 横浜生まれ
1962年 4月 東京都立西高等学校 卒業
1962年 9月 渡英。英国大学入試資格取得のため、Bathにある全寮制私立パブリックスクールの「Kingswood School」に入学。「Aレベル」数学と物理と「Sレベル」高等数学を取得。
1964年10月 ケンブリッジ大学 ダウニングカレッジ 数学・数理経済学科 入学
1967年 6月 学士・修士号取得 同大学卒業
1967年 6月 三菱商事株式会社 ロンドン支社 入社
1968年10月 Continental Ore Corp ロンドン支社 入社
1973年 4月 住友商事株式会社 ロンドン支社 入社
1974年11月 T. TAZAKI & Co., Ltd. をロンドンに設立
その傘下に、
職(Recruitment) - 現 JAC Recruitment
食(食品の輸入・卸し・レストラン) - 元 Tazaki Foods
住(不動産斡旋) - 現 JAC Strattons
を中心とした事業をイギリスでのパイオニアとして展開する。