お知らせ

Iさん(女生徒)都立日比谷高等学校出身

あっという間に長かった日が短くなり、英国に来てから半年も経ちました。こちらで生活する上でとても面白くもあり、同時にとても難しいときもあるのがやはり文化の違いです。それはどれだけ自分の意見を言うか、など元からよく言われていたことももちろんあるのですが、それだけに限りらないことをさまざまなところで感じました。私が7月に英国へ来てはじめてびっくりしたのは、サマースクールのスタッフの方がスーツケースを机のそばの高い棚の上に載せたのを見たときでした。日本であったら地震で頭の上に落ちてくると困るのでそのような場所に重いものを置くという発想がなかなか出てこないと思います。とても些細なことに感じるかもしれませんが、私にとってこの出来事はああ、違う国に来たのだなと実感させるものであり、また地理や歴史などにより形作られてきた文化というものに如何に人の感覚や考え方に影響されているのかということを考えさせてくれました。

 学校での勉強については、私は数学、化学、美術、歴史を選択しました。美術と歴史は3期生で取っている人は私だけだと思いますが取ってよかったなと感じているのでそれについて少し書こうと思います。

美術は4科目のうちの一つとして取っているので、授業数は日本の高校の頃とは違い多いですし授業の内容もかなり違います。この学期は半分の時間で自分で決めたテーマについてのエッセイを書き、私はもともと好きだったウォーターハウスという画家の作品についての分析をしました。今まで絵画を分析的に見たことはあまりなかったのですが、構図、配色、立体感などの視点から見ると今まで気づかなかった特徴や他の作品との共通点や相違点を見つけることができるとわかり、新たな発見にわくわくしながら書くことができました。残りの授業ではプラクティカルと呼ばれる、実際に絵を描いたり写真を撮ったりなどをしました。同じ授業を取っていてもやっている内容は人によって全く違い、自分が何に惹かれているのか、何を追求したいのかなどを常に考えつつ過ごさなければなりません。中々難しいですが、時間をかけて模索できるのはとてもありがたいですし、やはり絵を描くのが好きなので楽しみながらできるのがとても良いところです。

歴史の授業では十字軍と薔薇戦争について絞って学習をしています。西洋史はもともと興味があったので少しは知っていたのですが、人物名や地名も言い方が全く違い、特に最初の1ヶ月くらいは発言するのはおろか授業で話していることを理解しついていくのがとても大変でした。テストの形式も全て記述式で、前提として知識を持った上で自分で意見を考えてそれを納得させるような文章を時間制限の中で書かなくてはいけないので言語のハンデもあり難しいと感じました。しかし先生方はとてもサポーティブですし、リーディング・ライティングともにたくさん行ったことで英語力という面でも役に立っているように感じます。何より自分で考えることがたくさんあり内容がとても面白いので楽しんでやることができています。

勉強の面では割と慣れてきたと感じるのに対し、難しいと感じるのは他の生徒と話すことでしょうか。特に大人数で話していると速くて聞き取れなかったりして何について話しているのかわからないことが多く、さらにそのままどんどん話が進んでいくので大変に感じます。また誰かに話しかけようと思っても、日本のいた頃と違って前提として共有している知識が違うことがかなり足枷になって何について話せばいいのかわからない、となることが多くあります。それでも、先生と、もしくは友人と一対一で話すことに関してはあまり難しく感じなくなってきましたし、話せる同級生も少しですが増えてきたのであまり焦らずに過ごしていければいいかなと思っています。

1月からは新しい学期が始まります。昨年の半年は慣れないことがたくさんありあっという間でしたが、今学期はもっと英語の本を読んだり、楽器の練習をしたりもしつつ、体調に気をつけて過ごしていきたいと思っています。