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【Christ's Hospital】 Tさん(男生徒・都立西高等学校出身)

今回は僕のA level受験のことをまとめていこうと思います。前回のレポートから日が開いてしまったのもあり、どこからまとめたらいいかわからなくなってしまったので、このレポートは二年間のA levelを振り返ります。

そもそもA levelとは日本のセンター試験のようなもので、各々の生徒が自分に合った科目を膨大な種類の中から選択し、二年間の学習の後にテストを受けるというものです。それぞれの科目のテストの結果は、印なし、E、D、C、B、A、A*、の七段階で評価をされます(一部教科を除く)。この結果はそれぞれの科目ごとに独立して与えられます。なので、A levelの結果は得点ではなく、A*AABやAABBのようになります。これが大学受験でどのように使われるかを説明します。イギリスの大学は日本でいうところの二次試験を行いません。彼らはA levelの結果だけをもとに最終的な合格者を決定します。そのためA levelがとても重要なのです。このA levelも含めた二年間の受験の流れを僕の体験を通して説明します。

~入学
入学前に、自分の取りたいA levelの科目を選択します。A levelは最終的に3教科あれば十分で、学校からは4教科を選びなさいと言われました。僕は最初、数学、高等数学、物理、経済の4つを取るつもりだったのですが、高等数学は一科目に数えないといわれ、化学を追加しました(大学の学部によっては、高等数学を認めてくれないところがある。主に医学系)。経済を取った理由は経済学部志望だったからです。ただ学校が始まって1~2か月の間は、自分に合わない教科があると感じたら変更してもよいということだったのでそこは安心でした。

入学~1年目10月
入学するともうすでに一人一人の時間割表が作成されており、自分の選択した科目以外の授業は一切ないということがわかりました。他の生徒が4教科を勉強している中、高等数学を選択した人は授業数がその分多く、少ない空きコマにも英語の特別講習が入っていたため、空きコマが一切ありませんでした。その頃は授業についていくのが精いっぱいだったのもあってかなりしんどかったことを覚えています。どういった流れだったかははっきりと覚えていませんが、二か月ほど後に、高等数学を取っている人は教科を一つ減らしてもよいといわれました。そこで僕は化学を落としました。

~1年目5月
この間は日本の高校と同じく、学期ごとにテストがあり通知表が渡されます。休みの期間にいわゆる予備校のようなものに行かせてもらったりもしたのですが、今回の話とは直接関係がないので省きます。この期間の生活の様子は他の時期の報告書に詳しくあるので是非。

1年目5、6月
1年目の最後に大事なテストがあります。教科ごとに実際のA levelの形式に合わせたテストを行います(範囲は当然習ったところまで)。このテストの結果をもとに、先生たちがpredicted gradeを出します。これは要するに、1年後にどのくらいの成績を取れるかを予想するということです。この結果はなんと大学に送られます。ただしほとんどの教科は夏休み後にもう一度実施してくれます。大学に送られる結果はテストの結果と日々の授業の成績が加味されます。先生の裁量によるところも多いため、教科によっては理不尽があったりもします。日々先生とは仲良くしておくことが重要です。

夏休み
前述のとおり、夏休み後に大切なテストがあるので、十分に復習をするべきです。また、職業体験なども積極的に行いましょう。大学が開催しているサマースクールにも行きました。これについても他の時期の報告書に詳しくあるので是非。

夏休み明け~2年目10月
10月の上旬を期限として、いよいよ大学に応募をします。イギリスの受験はなんと、5つの大学にしか応募できないというルールがあります。本番の試験まで9か月もある段階で、自分の学力に合わせた大学選びをしなければなりません(そのための予想成績)。学校が始まってからでは時間がないので、夏休みの間にしっかりと考える必要があります。応募の際に提出しなければならないもとして、personal statement(いわゆる自己推薦文)があります。字数などが厳格に決まっていて、なぜその学部で勉強をしたいかを語ります。そこの職業体験やサマースクールの話なども盛り込みます。何度も何度も下書きを書いて添削してもらいました。これも学校が始まってからだとギリギリになってしまうので、余裕をもって夏休みの間に概ね終わらせておくといいです。この応募の時に学校から大学に自分の予想成績が送られます。僕はこの予想成績が良くなかったので、科目の先生にそれぞれ交渉して成績を上げてもらったりしました。なんどもしつこく交渉して物理はあげてもらいましたが、経済はあげてもらえませんでした。物理をあげてもらったのはかなり特例で普通はあげてもらえることはないので、夏休み前と後の試験でしっかりといい点をとれるように復習するべきでした。ちなみに予想成績はA*、A*、A、Bでした(数学、高等数学、物理、経済)。

10月~12月
大学への応募が終わるといよいよ大学受験が始まります。この時期の大学からの反応は4パターンあります。一つ目はofferが来るパターン。大学に送られた成績や自己推薦文をもとに大学がofferをくれます。(このofferというのは合格という意味ではなく、受験資格を与えられるということです。本番のA levelで要求された成績が取れたら合格にしてあげますよというものです。)二つ目は拒否されるパターン。そもそも受験の許可をもらえないこともあります。3つ目はインタビュー(いわゆる面接)に呼ばれる、もしくは特別なテストを受けさせられるパターンです。OxBridgeやImperialなどの上位校は学部にかかわらずほぼインタビューを受けます。OxBridgeはそれに追加して独自のテストをインタビューの前に持っています。これは学部ごとに違うテストです。4つ目は何も反応がないパターンです。大学はofferを出すか出さないかを3月末までに決めればいいということになっているので、この冬の時期に反応があるとは限りません。 ここからは僕の話です。僕はOxford, Imperial, UCL, Birmingham, Liverpoolの5校に応募をしました。まずはBirminghamとLiverpoolからofferが来ました。BirminghamはA*AB、LiverpoolはABBを要求されました。(この要求される成績は大学のホームページから簡単に見れます。人によってはちょっと違う要求が来ます。)この2校は応募してから割とすぐに反応がありました。僕は数学系の学部に応募したため、Oxfordの数学のテストを10月の末に受けました。Cambridgeのテストも同じ日にあったと思います。このテストの結果を受け、Oxfordは12月に、Cambridgeは1月にインタビューがあります。Imperialは学部によってはOxBridgeのテストの結果を参考にして1,2月にインタビューがあります。結果から言うと僕はこのテストの結果が悪く、OxfordとImperialはインタビューを受けることはできませんでした(インタビューの詳しいことは他の方の報告書に詳しくあるので是非)。UCLはこの時期には何も連絡がありませんでした。Imperialから拒否の連絡が来たのは年明けに来たので、冬休みの段階ではImperialとUCLからの連絡待ちという状態でした。この連絡待ちの期間はすごくいやでした。OxBridgeもインタビューを受けてから結果が来るまで時間があるのでみんなソワソワしていました。

1月~3月
3月の末までにすべての大学からの反応がそろいます。僕は最終的に三校からのオファーをもらいました。Liverpool(ABB)、Birmingham(AAA)、UCL(A*A*A)の3つでした。()の中の成績は学校から要求された成績です。6月の本番のA levelでこの要求された成績以上の成績を取れればこの学校に入ることができます。このタイミングでようやくはっきりとしたA levelの目標ができます。僕がUCLからのオファーをもらったのは三月末だったので、それまではBirminghamしかはっきりとした目標がありませんでした。正直なところ、Birmingham大学に通っている自分を想像したりもしていました。UCLからA*A*Aのオファーをもらった段階で、僕は経済を落としました。A以上の成績を取るのがきびしそうだったのと、UCLが日本語のA levelの結果も一教科にカウントしてくれとわかったからです。日本語のA levelは1年目にすでに受験していてA*をもっていました。なので数学、高等数学、物理の3教科でA*Aを取れればUCLに受かるということで、経済は落としました。

4,5月
5月の1日までに、自分の受ける大学を2つに絞らなければなりません。5つ全ての学校からオファーがもらえても、残りの3つのオファーは取り下げなければいけないのです。この2つの学校を選ぶのがとても重要で、同じ成績を要求している大学を選ぶことはできません。第一希望と滑り止めという考えかたです。僕の場合は第一希望UCL、滑り止めにBirminghamでした。A*A*Aを取れればUCLで、A*を取れなければBirminghamという選択でした。Liverpoolからのオファーは取り下げたのでもしBirminghamの要求した成績に届かなければ、受け入れてくれる大学を探すか、浪人するかでした。そしていよいよA levelのテストが始まります。A levelのテストは教科によりますが、5月の中旬から下旬に始まります。なのでこの2か月は最後の仕上げです。4月はイースター休みで一か月間学校が休みなのでここを有効活用することがとても重要です。イースター休みが終わると学校の授業がなくなります。時間の使い方が完全に自分に委ねられます。僕は部屋で一人で勉強できるタイプではないので、空いている教室などで勉強していました。この最後の学期はクラブ活動に参加しないことを許されていてため、僕は何にも参加しませんでした。この学期は空いている時間を全て勉強に使えます。周りも勉強モードに入るので、それに合わせて集中して勉強しました。

5,6月
いよいよA levelの試験が始まります。実技のない教科は基本的にテストが3回にわけられて行われます。この3回のテストはそれぞれ日にちが開いて行われます。同じ日に違う教科のテストが行われることもあります。僕は5月20日に物理の1枚目があり、6月25日に高等数学の最後のテストがありました。1か月以上にかけてテストがあるのでとても疲れますし、テストが終わるたびにすぐ切り替えて次のテストの準備をしなければなりません。物理の次に数学があり、そのあとに物理があるような週もあるので切り替えがとても大事です。連日テストがあることもあれば、3,4日開くこともあるので、事前にテストの日程をすべて把握しておくこともとても大事です。最後のテストが終わる日が人によってバラバラなのもきついです。僕の最後のテストは全体の中でも一番最後のテストだったので、周りのみんなそれぞれ最後のテストが終わってエンジョイしてる中、テストに向けて頑張る必要がありました。最後のテストが終わってから卒業式まで1週間ありました。ここはもう思い残すことがないように、しっかり楽しみました。A levelはこれで終わり、あとは結果を待つだけです。

8月15日
この日にA levelの結果が一斉に出ます。夏休みの間はできるだけA levelのことは忘れるようにしていました。僕はこの日ジョージアから日本に帰る日だったので、ジョージアの空港で一人で結果を見ました。結果は、数学A*、高等数学B、物理Aでした。この3つに日本語のA*をふくめ、A*A*ABが僕のA levelの最終結果となりました。そして、UCLのA*A*Aという要求にぎりぎり達したので、無事にUCLに合格しました。この時はとても嬉しかったし、ほっとしました。以上が僕の経験したA levelの一連の流れになります。

最後に
このA levelというシステムはとても独特な受験システムで、最初はよくわかりませんでした。今思い返すと、あの時のあれはこうだったとわかりますが、当時は先生たちから言われることをやっていただけみたいなところもあります。A levelについてわからないことがあって質問しても、人によって答えが違うこともありました。友達もすべてをわかっていたわけではないので、A levelの試験の担当をしている先生に何度も聞きに行ったこともあります。

今改めて、2年間、僕のことをサポートしてくれた数えきれない人に感謝をしています。手探りで始まったイギリス留学がこうして実を結び、新たなステップへと踏み出せたことがとてもうれしいです。本当に皆さん、ありがとうございました。